では、どのようなブランドやメーカーが出展していたのでしょうか。こういう状況の中でも、注目すべきランジェリーの動き、さらに将来性や未来を感じさせる出展者はあったのでしょうか。
フランス製シルク生地を使い、ニューヨークでデザイン、
日本の秋田で縫製している「BASARA(バサラ)」
「シモーヌ・ペレ―ル」「オーバドゥ」「シャンテル」といったフランスの老舗ブランドは、ごく限定したかたちで EXPOSED に小さなブースを展開。しかも、それ以外のランジェリーの出展者は、そのほとんどが小規模な新規ブランドという状況でした。その中で、日本人デザイナーが活躍するブランドの出展があったことが注目されます。
一つは、「BASARA SILK(バサラ)」。ニューヨーク在住のデザイナー、なかやまきみこさんと、スタイリストの村上由祐さんプロデュースで 2016 年にスタートしたブランドで、フランス・ぺラン社のシルクを使っています。昨年、日本国内の拠点を葉山から工場を新設した秋田へと移し、生産体制を整えたことも今回の初出展につながっています。
民藝の思想をベースに、日常の美を表現した
「OVAL(オーバル)」
もう一つは、パリ在住の吉田あゆみさんによる「OVAL(オーバル)」で、日本の民藝運動から影響を受けた日常に使えるデザインをコンセプトに、コットンや麻などの天然素材、白や黒を基調とした美しいランジェリーを提案していました。
パリの主要百貨店、「ボンマルシェ」や「ギャラリー・ラファイエット」のランジェリー売場を見ても、なかなか新しい動きは見当たりません。
長年にわたってランジェリーのリーディングブランドであった「ラ・ペルラ」が撤退した後、それに代わる存在というのはなかなか見いだせず、とりあえずは他のブランドでカバーしているという印象が否めないのです。
「ギャラリー・ラファイエット」では相変わらず、「SKIMS(スキムズ)」が好調で、客層を広げているという話です。
ファッションにおけるランジェリーの位置がややいびつになって、ヨーロッパでさえ、その存在価値がややゆらいでいるような印象さえします。
新しい世代が何をのぞんでいるのか、また新しい世代にランジェリーの魅力をどう伝えるか、業界あげて取り組んでいくことを真剣に考えなくてはならない時機が来ているように感じました。